ドローンで鹿の追い払い実験

2017年7月5日ドローンによる鹿の追い払い実験を実施しました。
追い払い用ドローンの機体は、TEAD社製(試作品)で、忌避音を発生させるユーソニック(試作品)とカメラを搭載しました。軽量化したユーソニックは、鹿の嫌う音を収束させて放出する設計で効果距離を伸ばしました。カメラは、ドローン前方の画像をリアルタイムで電送して操縦の手助けを行うものです。カメラ用配線が見えますが今回の可能性評価目的には支障はありません。

usonic_drone

更にもう一機、先ほど説明した鹿の追い払い用ドローンを撮影するためのドローン(ファントム)も飛行させました。
操縦はTEAD様が実施しました。次の写真左は、鹿追い払い用ドローンの飛行準備作業。写真右は、ファントムのテスト飛行を撮影。

HP_TEAD_fantom

今回のフィールドテストは、県立公園内で実施です。鳥獣捕獲事業者群馬県第1号の(株)シムックス様が、群馬県と前橋市に対し申請手続きと地元への説明を行い、レンゲツツジの開花時期終了後に実現できました。「実証実験実施中」の旗は、県の指導によるものです。

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ドローン飛行準備中に鹿が出没して下草を食べていました。急いで初回のフライトを実施したのですが、ドローンを注視し過ぎて、鹿が逃げ去ったことに気付かず、ドローンに対する反応、ドローンと鹿の間隔を知ることができませんでした。

その後、見晴の良い場所から目視と空撮用ドローンによる鹿を探索しましたが、鹿を検知することができませんでした。鹿の姿は無いのですが、日没も近いため最終フライトを決行すると、樹木の中で休んでいた鹿が飛び出して警戒声を発しながら逃げる様子が目視でも確認できました。操縦者の話では、操縦用のカメラからも鹿を検知でき鹿に向かって飛行したそうです。次の画像は、ファントムの空撮動画を加工して、ドローンと鹿の位置を示したものです。

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ファントムの動画より、鹿の逃げる姿が針先ほどの微小な点で確認できました。この動画よりドローンと鹿の間隔を割り出した結果、この画像の推定距離100m、鹿の飛び出し位置は推定80m以上です。ドローンのみの飛行で鹿の追い払いができると考えられますが、ドローンを鹿に接近させる必要があります。今回の鹿の逃避開始位置とドローンとの距離からユーソニックによる追い払い効果ありと判断しました。鹿の捕獲に活用できる可能性が高くなりました。また、鹿の出没を確認してからのフライト計画でしたが見えない場所で休息している鹿の追い出しにも活用できることが判明しました。今回、鹿の実験ですが猿や猪などの追い払い効果も期待できます。

協力会社
(株)TEAD様
(株)シムックス様

 

key:ドローン、獣害対策、超音波、追い込み、罠、先端技術、革新、逃避行動、忌避音、鹿検知、空撮、ドローン活用

鹿対策スタートの地点にて

今日紹介するの定期点検場所は、シカ対策の原点の地です。

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この地から鹿対策のお話を頂き、実験を重ねて、初の鹿対策が始まった場所で、富士山の雄大さに、思わず写真を撮ってしまいました。

写真右は、メンテナンス風景で、装置からの音レベルを測定しています。

木陰の設置してある装置は、直射日光が激しく当たる場所に比べ劣化が少ないようです。

劣化が激しいものは、スピーカ交換を実施しました。

 

先進広域獣害対策(続)

ある日、この大規模防護柵のある信州で、ユーソニックの点検を行いました。

農家の人と話をしていると、「あッツ」の声と同時に、農家の人が猛スピードで走り出しました。

その先には「鹿」!

鹿の逃げ脚も速いが、追いかける人も速い、アッという間に追い詰めました。

「有害鳥獣捕獲従事者」への電話連絡など、実に手際が良く実践を積んでいるようでした。

防護柵内部の森に住みついた有害鳥獣の追い出しを定期的に実施しているとのこと。

左写真:防護柵に体当たりする鹿                     右写真:捕獲した鹿を見ている有害鳥獣捕獲従事者

 

広域防護柵では、柵内部の林や森に、害獣が住み着いている場合があります。

防護柵内部に鹿が住み着いてしまえば、柵を設置した意味が全くなくなってしまいます。

必死に走る若者を見て、防護柵の設置だけでは、害獣被害は減らないと、改めて思い知らされた一日でした。

この地域は、農業で利益が出せるため、若い人が夢を持って働ける好循環になっています。

気の遠くなるような80Kmもの防護柵を作ることや、80Kmもの柵の保守、内部に住むシカの駆除、想像できない苦労があるはずです。

逃げる鹿を追いかける人の必死な姿、被害があっても更に改善・工夫する姿など見ていると、頭が下がります。

・あきらめない人の多い地域なのか?

・リーダが良いのか?

・協調性が高い地域なのか?

・行動力が凄い人が多いのか・・・???

総合力と言ってしまえば簡単ですが、偶然や運では無いことだけは確かです。

この地域のユーソニックは、ここ1年間で4台補強され累計17台になりました。

あきらめない人達に、私たちも育てていただいています。

ここの人たちのように、あきらめないこと、工夫を重ねること、実行すること・・・勉強になります。

 2012年10月記載