石で太陽光パネル破損(上毛新聞より)

犯人はカラス?

20140829メガソーラ

 

カラスが太陽光発電パネルに石を落として破損したとみられるトラブルが県内で発生している。太田市内の太陽光発電施設では5カ月間で27枚のパネルが被害に遭った。施設を設置する東毛地域の建設会社も施工先での被害発生を確認。専門家は「カラスが遊びでやっている可能性がある」と指摘する。被害の発生を受け、鳥獣撃退装置を製造販売する群馬県高崎市の企業は、カラス対策装置の充実を進めている。

「カラスにパネルを壊されるとは考えもしなかった」。太田市六千石町で最大出力600キロワットの太陽光発電施設を運営する担当者は驚きをあらわにする… 。

上毛新聞社の記事より抜粋

〘この記事で、当社に関係のある内容

カラス嫌がる超音波を上空に発射する装置を販売するモハラテクニカは全国の被害を受けた事業者から問合せを受ける。装置をテストしたところ、設置前1ヶ月8枚だったが設置後は1枚に減少した。

この記事の設置情報 : メガソーラのカラス被害

施設管理者が、太陽光パネル破損原因が、カラスと特定するのに多くの時間を必要としているようです。

 

メガソーラーのカラス被害

群馬県内で、メガソーラのカラス対策を実験する機会を得ましたので紹介します。設置現場の特徴は、道を挟んで東側に池があり、更に200mくらい離れた場所に牛舎もしくは豚舎らしきものがあり、カラスの餌場となっています。ユーソニック設置前の現場確認では、池の中や池のフェンスにカラスが集まり、メガソーラ周囲のフェンスや、太陽光パネルにも飛来していました。太陽光パネルの破損は、池に近い場所に多く発生していました。

太田メガソーラ

鳥獣撃退装置は、電源確保ができて、カラスが集まる方向に音が出せるように設置しました。装置は、ユーソニック・アッパー2台です。ユーソニック・アッパーは、上方向にも音を放射できる特長があります。

1台の装置(写真:設置1)は、パワーコンの施設の屋根から太陽光パネルに照射させて、太陽光パネルに反射させて上空に飛ばし、もう1台(写真:設置2)は、据置設置台を用いて地上設置しました。

設置12

評価内容は、設置前、設置中、撤去後を比較するもので、設置前8.28枚/月、設置中0.91枚/月、撤去後8.57枚/月の被害でした。

被害が約1/10 (10.8%)に減りましたが、設置場所や台数など課題が残りました。

カラスによるソーラパネル破損被害は、メガソーラの設置数の増加に追従しています。
資源エネルギー庁が集計した2014年2月末時点のデータによると、固定価格買取制度の認定を受けた太陽光発電設備は住宅用と非住宅用を合わせて累計で3900万kWを突破した。特に出力が1MW(メガワット)以上のメガソーラーが半分以上の1970万kWを占めている。
推移と破損パネル

太陽光発電協会が出すグラフの茶色は、メガソーラーの4半期ごとの発電設備の推移を示すもので、青色の住宅用に比べ伸び率が高くなっています。この伸びに追従して、メガソーラのカラス被害の問合せも増加しています。

ソーラバネルの破損が多い事業者は、ソーラーパネル上に石が有ることから、石を介在した破損が濃厚になります。しかし、この石が何故ここに有るのか解明できません。「人間による悪戯?」、「草刈機から石が跳ねる」などを疑います。防犯カメラを設置し、撮影データ解析しますが、「カラス」に到達するまでに時間が取られるようです。当社への問合で、「カラスは石を落としますか?」や、「カラスの落とす石でソーラーパネルは割れますか」から始まり、「なぜ、石を落とすのですか」、「何が面白のですか?」といった質問があります。

カラスは、貝殻を割るために、高い場所から落下させて貝の身を食べることが知られています。そして、満腹時には、石を落下させる遊びを行うことがあります。ソーラパネル以外、例えば車などにも被害が発生しています。

ソーラパネル設置場所の全で被害が発生することはありません。被害が多い場所は、カラスの塒(ねぐら)近くや、カラスの餌場近く、あるいはカラスの塒と餌場を移動するときの通り道にソーラパネルが設置されていると被害が発生しています。

 

 

ゴルフ場のカラス

ゴルフ場のカラスの問い合わせより

◆ゴルフボールの持ち去り

鳥獣撃退装置をカートに乗せて対応していただいたゴルフ場があります。

貸出後、レンタル1台・1年間使用して頂きましたが、思うような効果は出なかったようです。

◆食べ物の横取り

プレーヤの飴などを持ち去る被害です。

食べ物を見せないように、容器に入れて蓋をするなど物理的な遮断が、安価で確実な方法です。

子育て時に襲う

襲うのは繁殖期で、春から夏です。この時期には、樹木の上などを注意して、巣を作らせないようにします。

卵やヒナがいる時は、鳥獣保護法で巣を撤去できなくなります。そして子供を守るため凶暴になります。

卵を産む前が勝負です。産卵後に撤去する場合は、許可を受ける手続きが必要になります。

ゴルフ場に鳥獣撃退装置を導入する場合、広大な土地のため避けたい場所のスポット対応になります。

 

(追)

弊社のカラス対策は、餌場、寝場所、遊び場の3つに分類しています。

  • 「最初のゴルフボールの持ち去り」は、遊び場。・・(遊)
  • 「食べ物の横取り」は、餌場。・・(食)
  • 「子育て時に襲う」は、巣(寝場所)に対する対策です。・・ (住)

人間でも、言えることですが、寝る場所(住)、遊ぶ場所(遊)、食べる場所(食)、すべて快適な場所が好きです。しかし、お腹が減って死にそうな時は、快適よりも食べることが優先されます。住居も、閑静な住宅が理想ですが、他に無ければ与えられた範囲内で選択します。遊びは、「食」、「住」に比べて、快適さを求めます。

対策として、最も難しいのが「食」です。「食」の場合は、すぐ近くに快適に食べられる場所があれば別ですが、ほとんどの場合、諦めません。まず、高い場所から安全確認を行い、狙いを定めて一直線に下降し、食糧を捕えた瞬間上空へ飛び去ります。食べ物を見せないようにするか、物理的な遮断をすることが、安価で確実です。

「住」について、ゴルフ場のような地域では、周囲に山林などが存在するため、より良い環境に移動します。毎年、同じ場所で子育てを行うことが多いため、産卵する前に立ち退かせることが大事です。一旦、産卵すると巣を移動できません。

「遊」について、ゴルフボールの横取りは、遊びに入りますので、「食」「住」に比べ効果は高いと推測されます。ただし、広い場所であり、ゴルフボールが好きなカラスは、工夫して横取りすると思われます。