音の基礎知識と撃退装置

【音とは】

音というのは空気の波です。池に石を投げたときにできる波を連想してください。
音源から空気の波が速い速度で広がり、耳まで到達し鼓膜で振動を受けて、音が脳に伝達され聞こえます。

【超音波とは】

超音波とは、一般に20kHzを超える「人間の耳に聞こえない音」とされています。文献によって16KHzなど数値が異なることもあります。超音波工業会では、「超音波とは、聞くことを目的としない音波である」と定義しています。

【人間が聞こえる高い音は】

人間の耳は、15,000Hz程度を超えると聞こえなくなります。個人差があり、年齢が高くなると、高音域が聞こえなく傾向があります。時報「ピッ、ピッ、ピッ、ポーン」の低い方の音は、1秒間に440Hz、高い方は、880Hzです。ピアノ(88鍵)の一番高い周波数が4,096Hzで、人間ドッグの聴力テスト(高音)は、4,000Hzもしくは8,000Hzです。

【超音波撃退装置とは】

超音波を利用して鳥獣を撃退する装置です。ユーソニックは、人間に聞こえる高音域から超音波域まで使用しています。対象動物より周波数帯域や音の発生方法を変えています。このため動物の嫌がる忌避音と表現することが多くなりました。

【嫌な音色と心地良い音色】

ピアノの音(正弦波)は、気持ちのよい音で、音が高くても、私はイヤと感じたことはありません。バイオリンでは、上手なひとの音は、うっとりするような綺麗な音色ですが、超初心者の音は、雑音に近いものもあり、イヤな音に聞こえることもあります。ガラスを爪で引っかくような音は、嫌な音の代表例です。この音の音量が大きいと、相当なストレスになります。

【慣れる音、慣れない音】

狼少年の話では、羊飼いの少年が、退屈しのぎに「狼が出た!」と嘘をついて騒ぎを起こします。最初は信じますが、嘘だと思えば、無視して行動するようになります。
動物の世界でもライオンの鳴き声が、嘘の音(声)で怖くないと思えば、危機感がなくなり、音を無視した行動になります。撃退装置で良く言われる「慣れ」です。この状態で、本物のライオンの声を聞いても逃げない可能性もあります。(実験はしていません。)

ガラスを爪で引っかくような音は、好きですか?毎日聞けば、慣れると思いますか?
私は、慣れる前に気が狂うような気がします。とても、チャレンジする気になれません。

鳥獣撃退装置は、嘘を見抜かれないようにするか、慣れない音を作ることが課題です。
動物により聞こえる帯域が異なり嫌う音も違うようです。動物と会話ができれば、すぐに解決するのですが・・・

近鉄様で鹿と電車の衝突防止策にユーソニックを設置し18ヶ月経過したところで読売テレビ様の報道がありました。事故件数の推移の映像では、設置後1件の事故が発生していました。突発的な事故の発生はあるものの、慣れの発生は無しと判断しました。別件ですが、ユーソニック設置後10年を経過する場所が徐々に出て来ています。環境に応じた正しい設置と保守を行えば長期的な獣害対策ができると感じています。ただし、動物の種類によっては効果の無いものや一時的な効果に終わるものもあり、更なる研究開発が必要です。(2018.4追記)

 

【音を洗脳する】

お化けの音を連想してください。
「ヒュ~・・・」 映画やテレビや絵本などで、後天的に教え込まれた音です。

このつづきは、いつか・・・できるかな??

【超音波は動物に聞こえない?】

超音波は、ニホンジカに聞こえないから撃退効果は無い。本当でしょうか?。

ある研究機関(A)は、聞こえないから「撃退効果なし」と、超音波撃退装置に対して批判的です。

別の研究機関(B)は、動物には聞こえないはずだけど、なぜか動物の姿が見えなくなる、なぜだろうと、何かあるはずだと研究に研究を重ねています。

難聴者に超音波を当てて、直接大脳を刺激させる方法など、面白い事例があるのに。

2017年「ニホンジカの超音波周波数域を含む純音刺激に対する行動」という論文が農研機構から出てきて、「ニホンジカは50KHz(80dB)が聞こえるようだ」が結論です。獣害に携わるY農学博士様は、ニホンジカの可聴域をノロジカの可聴周波数から推定して~8KHzとていました。(2018.4追記)

 

【人間への影響】

超音波による健康への影響については、まだ研究段階のようです。ある論文に「心臓交換神経の活動を上昇させる可能性がある。」というものを見つけました。心臓交換神経の活動上昇が健康被害になるのか不詳ですが、人体への影響はゼロではないようです。家電製品や工場設備などからも超音波が出ていますので、更に研究が進むと思われます。可聴域の爆音は健康被害があるため騒音規制があります。小さな音は健康被害はありません。超音波領域の騒音規制は無いのですが、安全をみて小さな音圧になるように装置を設置することが望ましいと思います。人が長時間滞在するような場所に音の出る方向に装置を向けないようにして、装置との距離を長く確保することです。鳥獣撃退装置の正面1m先は、不快に感じますが、10m~20m位離れると不快感が激減します。10m離れれば1mの場所と比べて音の大きさは1/100以下に、20m離れれば1/400以下の音の大きさに、100m離せば1/10,000以下の音の大きさになります。