ドローン搭載の課題

ドローンに、ユーソニックを搭載するときの課題について
drone
この画像は、装置を搭載したイメージ図です。
背景
 2015年5月に鹿と猪の生息を10年間で数半減させる法案が施行されました。獣害駆除の一つとして、猟犬により害獣を追い込んで射撃する方法があります。しかし、この方法は、猟師不足と猟師の高齢化、猟犬の飼育が問題になっています。この対策として、鳥獣撃退装置ユーソニックをドローンに搭載する案が浮上しました。ドローンから送られてくるカメラ画像を見ながら遠隔操作を行い、ユーソニック音を鹿に照射して目標地に追込みます。猟師は、追込先に待機して射殺する方法です。メリットは、険しい山道を歩き回ることが無く、安全場所で猟ができるようになります。
技術的課題
技術的な課題は、ユーソニックとバッテリーの軽量化、忌避音の効果距離、映像データの長距離転送があります。
①軽量化と動作時間
  販売機種のユーソニック・ミニは、筐体にアルミ材を使用しています。これを改造してバッテリーを搭載する簡易的なもので評価しました。バッテリーはニッケル水素単三電池8本を搭載で3kg程度の重量になります。動作時間は、120分以上確保し顧客要求を満足しました。
②忌避音の効果距離
  依頼者の話では、動物の鳴き声や銃砲の音を試しているようですが、一時的な効果で終わったようです。そのため当社に相談が来たのですが、当社は、地上固定設置での実績のみです。ドローン搭載による効果距離と即効性評価が必要になります。
長距離伝送できる軽量スピーカユニット部を試作しましたが、ドローン規制など解決できない課題があり中断しています。
(追記) 規制緩和によりドローンを搭載実証実験を開始しました。ドローンで鹿の追い払い実験をご覧ください。
③映像データの長距離転送
カメラの映像を1.5Km~2Km伝送したいのですが、電波法の規制により、強い電波を出せず距離が伸びません。アマチュア無線を用いた装置であれば、伝送できそうですが、アマチュア無線は、業務には使用できません。ラジコン好きの友人相談したところ、アマチュア無線免許を復活させ各種装置で映像の良し悪しや到達距離など試験してくれています。 ※追記を参照して下さい。
④ドローン規制
 更に国土交通省は、操縦者が目視できない範囲での飛行を禁止する方針を決めました。ドローン規制の法整備が進んでいる米国や欧州でも、安全性が担保できない理由で、目視範囲外での飛行を禁じています。日本でも、被災地の観測など、公共機関などが行うドローンの活動については、一定の安全対策を講じることで規制対象外とするように進んでいまが、獣害駆除の規制についての情報が見つかりませんでした。
最近(2016年1月)東京都は鳥獣対策に国家戦略特区制度を活用し、都内の山間部や島嶼部を、実証実験のためのドローン特区にする方針を固めた。 ドローンを飛ばす電波の周波数や出力を規制している総務省も都の要請に応じる見通し。特区になれば、操縦範囲が広がり、高画質の映像も送信できるようになることから、都は「様々な用途を研究していきたい」としている。 総務省によると、現在、ドローンの操縦や画像送信には無線LANなどと同じ周波数帯が割り当てられている。混信を避けるために電波の出力規制があり、無線LANの2・4ギガ・ヘルツ帯の場合、ドローンの操縦は最大で半径3キロ程度、画像送信をする場合は最大300メートル程度しか飛ばせない。(新聞から一部抜粋)
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(追記) ドローンで使用する電波の法改正(平成28年度)
2.4GHzと5.7GHzが改善されます。 資料内では、既存の無線LANの10倍、
5Km程度の長距離通信と記載されています。
    詳しくは、総務省の資料6をご覧ください。
   第三種陸上特殊無線技士以上の資格が必要です。
   第三種陸上特殊無線技士の資格は、国家試験か養成課程で取得できます。
(追記) ドローン追い払い実験を実施しました。( 2017.7.5)

 usonic_drone

詳細は、ドローンで鹿の追い払い実験 をご覧ください。

     実験では、飛行申請が日没まででしたが申請を変更すれば夜間飛行出来るようです。

飛行場所により規制があります注意してください。

今回は、鹿の追い払いですが、猿の撃退、猪の撃退などにも利用できそうです。

 

 

 

シカよけ:特急に「特殊スカート」

JR東海殿が実施している「特殊スカート」の記事をまとめてみました。

当社は、衝撃緩和装置には関与していません。

シカよけ:JR東海が衝突対策 特急に「特殊スカート」

JR東海は18日、シカとの衝突対策のため開発した「特殊スカート」を報道陣に公開した。車のバンパーのような形状で、シカを軌道外に押しのけて死骸巻き込みを防ぎ、事故処理時間の短縮を図る。19日から紀勢線の特急「ワイドビュー南紀」に投入される。
スカートは幅2.4メートル、高さ70センチ。素材に断熱や梱包(こんぽう)に使われるスポンジ状ゴムを採用した。装着角度が重要だが「特許申請中なので数値は非公表」(広報)。開発・製作費は4両分で1000万円。09年2月に検討を始め、数日間の試験走行で8件の衝突事案があったが、巻き込みは1件だけだった。

shika-skirt

 

毎日新聞 2012年05月19日 00時13分(最終更新 05月19日 00時47分)より

 

------ その後 2014 ------

2012年から2013年11月のワイドビュー南紀とシカの衝突は140件。
衝撃緩和装置を設置した車両との衝突は75件、非設置車両との衝突は65件だった。
シカとの衝突による遅延時間の平均は、15.1分となり、設置車両の方が約3分短かくなった。
今後も衝撃緩和装置の設置車両を増やす方針 (データは、http://response.jp/category/railway/ より引用)

私の考え:事故処理の時間短縮で効果が出ていますが、それ以上にシカの個体数増加による事故件数が増えています。結果、累積遅延時間は増加しているため、改善の余地があると思います。

 

増加する列車と鹿の衝突事故、JR東海が開発した緩和装置が巻き込み防止に効果

山間部を走る列車と鹿との衝突事故が相次いでいることに対応し、JR東海が開発した衝突緩和装置が効果を上げている。(中略)特急列車6編成に装着しており、製作費用は合計で約2500万円。効果が顕著だったため、今回の装置を改良し、26年度から新たに投入する計画の普通列車(ディーゼル車)26編成にも順次搭載する計画だ。鹿との衝突防止に向け、同社はこれまでに約2億2千万円をかけて、衝突が多い路線に総延長24キロの柵を設けたり、鹿が嫌うライオンなど猛獣のフンや尿を線路にまいたりしてきたが、いずれも目立った効果はなかったという。

産経WESTより抜粋  http://www.sankei.com/west/news/140107/wst1401070079-n1.html

 

------ その後 2015 ------

鹿バンパーの特許公報(登録日2015.11.6)から技術内容を追跡しました。

  • 発明の名称:多層構造跳ね飛ばし衝撃緩和装置
  • 特許番号:特許5832268
  • 発明のポイント:硬さの異なる少なくとも2種類の緩衝を車体上下方向に配置
    上部の緩衝材11は相対的に軟らかい緩衝材(例えば軟質のスポンジゴムなど)
    下部の緩衝材12は相対的には硬い緩衝材(例えば硬質のスポンジゴムなど)

 fig

 

私の考え:このバンパーを自動車用に改良して、死亡事故の軽減に応用すれば良いと思います。

------ その後 2016 ------

新型ディーゼルカーは人、そして鹿にも優し

国鉄型ディーゼルカーの全車引退について、JR東海は「より一層、安全性とサービスを向上させるため」としています。引退したキハ40系の替わりにJR東海が導入した新型のキハ25形ディーゼルカー(2次車)は、(・中略・)、鹿と衝突した際に致命傷を与えず線路外へ押し出す「鹿衝撃緩和装置」の搭載、(・中略・)などが特徴の車両です。

山間部を走る鉄道路線では鹿との衝突による遅延、車両の破損などが問題になっており、各地の鉄道会社で線路にライオンのフン成分を撒く、鹿検知装置を設けるといった対策が行われてきました。 JR東海が2012年から行った「鹿衝撃緩和装置」のテストでは、「鹿を線路外へ押しのける割合が、非設置車両と比較して約13%高い」「運転再開までに要する時間が、非設置車両と比較して平均約3分短い」「30分以上の遅延が1件のみ(非設置車両では6件発生)」という効果が出ています。

 gooニュース>トレンド 2016.3.25 14:50 より抜粋

 

 

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衝撃緩和装置 = 鹿スカート = 特殊スカート