群馬県では鳥獣被害が今も深刻な課題となっている
私たちが暮らす群馬県では、鳥獣被害が今も大きな社会課題になっています。
農作物への被害はもちろん、森林への被害も続いていて、地域の産業や暮らしにじわじわと影響を与えています。
鳥獣被害というと、「畑が荒らされる」「作物が食べられる」といったイメージを持つ方が多いかもしれません。もちろんそれも大きな問題です。ただ、実際にはそれだけではありません。農家の営農意欲が下がったり、耕作放棄地が増えたり、森林の手入れが行き届かなくなったりと、地域全体の持続性に関わる問題へ広がっていくのが、鳥獣被害の怖さだとモハラテクニカは考えています。
群馬県の農作物被害は3億円を超えている
群馬県が公表している令和6年度の調査では、農作物被害額は3億4,309万4千円にのぼっています。しかも、35市町村のうち31市町村で被害が報告されており、一部の地域だけの問題ではなく、県内の広い範囲で発生していることがわかります。
この数字だけを見ても十分深刻ですが、本当の問題はその先にあります。
鳥獣被害は、単純な売上減少や収穫量の低下だけで終わりません。被害が毎年続けば、「もう作っても仕方ない」「管理しきれない」と感じる人が増えていきます。そうなると、農地が荒れ、地域の景観や生産基盤そのものが弱っていく。これは農業の問題であると同時に、地域社会の問題でもあります。
特に深刻なのはニホンジカ、イノシシ、クマの被害
群馬県の農作物被害を見ると、とくに被害額が大きいのがニホンジカです。
次いでイノシシ、クマと続き、この3獣種で県全体の被害の大部分を占めています。
ここから見えてくるのは、群馬県の鳥獣被害が「なんとなくいろいろ発生している」のではなく、被害を生む動物がある程度はっきりしているということです。つまり、対策も広く浅くではなく、地域ごとにどの動物がどんな被害を生んでいるかを整理しながら、重点的に考えていく必要があります。
特にイノシシやシカは、被害が出る場所や時間帯、侵入経路にある程度の傾向が見えるケースも多く、現場に合わせた対策の積み重ねが重要になります。
カラスやヒヨドリなど、鳥類の被害も見逃せない
群馬県では、獣類だけでなく鳥類による被害も増加しています。
とくにカラスやヒヨドリの被害額は大きく、前年より増えている点も見逃せません。
鳥の被害は、獣害に比べて「まだ軽い」と見られがちですが、実際の現場ではそう簡単ではありません。果樹や野菜、収穫直前の作物が狙われると、短期間でも大きな損失につながります。また、鳥は移動範囲が広く、時間帯や周辺環境によって行動が変わるため、対策が難しいケースも多いです。
モハラテクニカとしては、今後の鳥獣被害対策では、シカやイノシシのような大型獣への対応だけでなく、鳥類対策も含めた総合的な視点がますます必要になると考えています。
嬬恋村では高原野菜への被害が集中している
群馬県の中でも、嬬恋村ではニホンジカやクマによる高原野菜への被害が大きな割合を占めています。
これは、鳥獣被害が「県全体に広がっている」だけでなく、「特定の地域に深く集中している」ことも示しています。地域の基幹産業を支える作物が狙われると、その影響は単なる個別農家の損失では済みません。地域ブランド、生産量、流通、雇用といったさまざまな面に影響が及びます。
つまり鳥獣被害は、現場の困りごとであると同時に、地域経済に関わる問題でもあるわけです。
森林被害も2億円規模。ニホンジカ、ツキノワグマ、カモシカの影響が大きい
群馬県では、農作物被害だけでなく森林被害も深刻です。
令和6年度の民有林における野生鳥獣被害は、実損面積78ヘクタール、被害額2億131万3千円となっています。
森林被害では、ニホンジカ、ツキノワグマ、カモシカによる影響が大きくなっています。
幼齢林での食害や角研ぎ、壮齢林での剥皮など、被害の形もさまざまです。ここで重要なのは、鳥獣被害が単一の対策では解決しにくいという点です。
動物の種類が違えば行動も違う。被害が出る場所も違う。季節も違う。だからこそ、「とりあえず柵を設置する」「とりあえず捕獲する」だけでは足りません。地域や現場の状況を踏まえながら、捕獲、防護、環境整備、監視、情報共有を組み合わせていく必要があります。
まとめ|群馬県の鳥獣被害は、地域の未来に関わる社会課題
群馬県では、農作物被害が3億円超、森林被害が2億円超と、鳥獣被害が大きな規模で発生しています。
ニホンジカ、イノシシ、クマ、カラス、ヒヨドリ、ツキノワグマ、カモシカなど、被害を生む動物も多様で、しかも農業と森林の両方に影響が広がっています。モハラテクニカは、こうした鳥獣被害を単なる現場トラブルではなく、地域産業、自然環境、担い手、暮らしの持続性に関わる社会課題だと捉えています。
これからの対策には、現場ごとの状況を丁寧に見極めながら、無理なく続けられる方法を積み重ねていくことが欠かせません。
出典:群馬県ホームページ
・野生鳥獣による農作物被害の状況(令和6年度調査)
https://www.pref.gunma.jp/page/9262.html
・野生鳥獣による森林被害の状況
https://www.pref.gunma.jp/page/7192.html