鹿の踏切後7ヶ月の報道

2台のユーソニックを使用した小規模評価から1年、規模を広げたシカ踏切の完成から7ヶ月が経過、その内容がテレビと新聞により報道されましたので紹介いたします。

 

「大阪毎日放送ボイス」  2016年12月16日(18時47分~) 放送

  • 見えない踏切を覚えていますか?
  • 設置から7ヶ月が経過し予想以上の効果だった。
  • 奈良県内でも設置に向けて準備を始めた。
  • 毎日どこかで事故が発生、ネットなどの対策を行うが成果が上がらなかった。
  • そこに登場したものが鹿に不快な音を与える装置、鹿の通り道に設置して「見えない踏切」を作る。
  • 5月の装置を設置して効果を検証、7か月を過ぎて「接触事故が0件」で担当者も驚く。
  • 予想以上の効果で、安全輸送が保たれることが、うれしい
  • 他の路線、榛原~室生口大野間でも準備に入った。
  • 監視カメラを仕掛けて鹿の通り道を特定、鹿を安全に通す。
  • 他の鉄道会社や農業分野の応用も考えている。鉄道会社から始まった新たな広がりに注目。
  • 鹿を通してあげる・・ただし、事故を行ないようにね・・生態系も維持される。
  • 近鉄さん、おみごと!
  • 日本の農産物の被害、年により80億以上あると言われている。
  • 有用性が認められた。より増えていくといいなと思います。

 

産経新聞(夕刊)より

 

sankei

 

近鉄東青山駅周辺では、昨年17件の衝突事故が発生した。

シカ踏切設置後、7ヶ月が経過して衝突事故はゼロに抑えられた。

この産経ニュース(記事)は ↓ より

http://www.sankei.com/west/news/161216/wst1612160040-n1.html

鹿の踏切(ユーソニック)報道される。

鹿の踏切が「NHKニュースほっと関西」で紹介されました。

鹿の踏切は、鹿と鉄道車両の接触事故の対策として逆転の発想から生まれました。

 

2016年7月20日NHKニュースほっと関西
2016年 7月21日NHK三重

 

その内容

  • 電車がシカをはねる事故が後を絶たない。
  • 近鉄管内の鹿と電車の事故は、年々増加していて313件/H27発生している。
  • 近の今までの取り組みは、線路に鹿を寄せ付けない作戦!
  • 鹿除けロープを12Km設置しましたが、ロープを掻い潜る鹿。(柵と飛び超える映像)
  • 事故が多い区間では線路が生息域を分断する形になってる危険を冒してでも線路を横断していた。
  • 鹿を避ける対策では、通用しない。発想を変えて鹿との共存を考えてシカ踏切を考えた。
  • 線路の両脇におよそ1キロにわたってネットを張った上で、5か所にネットを空けた場所を作り、 鹿が線路を横断できるようにした。
  • 電車が通る時間帯にはシカが入らないようにし、最終電車の後は装置を止めてシカを通す仕組み。
  • ネットがガードレール、線路が道路、ユーソニックが踏切。
  • 担当者は、「シカとの共存が果たせる仕組みができた」。動物愛護の面からも良い。
  • ほかの路線にも広げていく。

鹿の踏切が「NHKおはよう日本(全国版)」で紹介されました。

2016年8月3日に、NHKおはよう日本で、線路の鹿衝突防止の方法が紹介されました。

内容

  • 全国で列車とシカが接触する事故が増加、平成26年度は5,000件に達している。
  • 鉄道会社がたどり着いたのはシカを排除するのではなく、鹿と共存するという逆転の発想だった。
  • 三重県津市での撮影では、電車と鹿の事故が発生しダイヤが乱れる。
  • 大阪など2府3県に路線をもつ近畿日本鉄道は、シカとの接触事故は奈良から三重に至る山間部を中心に発生。
  • 件数は昨年度300件と統計を取りだしてから最多となった。
  • シカ対策に取り組んだ近畿日本鉄道、匹田雄史さん。
  • 近鉄がこれまで取り組んできたのはシカを線路に寄せ付けない対策。
  • シカロープなど設置したが、効果がなかった。
  • シカはなぜ線路に入るのか、近鉄は対策チームを組み生態を詳しく調べた。
  • その結果、シカの痕跡は線路を挟むようにして両側に広がった。
  • 生息域を分断しルートが判明した。
  • 鉄分補給のためレールをなめる習性があることが判明。
  • 鹿との共存は、鹿専用の踏切「シカ踏切」
  • 線路に防護ネットを設置し、5か所あえてネットのない場所も作った。
  • 遮断機の代わり設置したのがユーソニックという装置
  • 動物が嫌がる音を発します。
  • 鉄道が走る時間帯だけは、この装置で鹿を近づけないようにする。
  • 鉄道が走っていない時間は停止、鹿に渡ってもらう作戦。
  • ユーソニックが踏切、ネットがガードレール、線路が道路のイメージ
  • 設置後、鹿は線路外をうろつくが入ってこない。
  • 鳴りやんだ1分後、線路内に入ってきた。
  • 多い月には3日に1回あったシカとの接触はシステム導入後ゼロとなった。
  • 共存が、動物愛護の面から良いと思う。

大阪毎日放送VOICEで、鹿対策で「見えない踏切」が紹介されました。

内容

  • 近鉄線路に侵入する鹿が線路を舐める。
  • 近鉄が新たに打ち出したのは「鹿の踏切」を作ること。
  • 劇的な成果を上げている。
  • 1年で300件を超える鹿との接触事故。
  • 鹿の生息域内に電車の通路があり、夜になると鹿がやってくる。
  • 事故が発生すると、お客様が目的地に定刻に着かないことが問題。
  • JR西日本では、ライオンの糞尿をまく対策をとったが、臭いで近隣住民から苦情。
  • 線路を舐めるのは鉄分が欲しいのでは?。
  • シカは生活パターンがあり、線路をを渡るポイントは、毎回同じ。つまり、線路の上に「シカの道」があることが判った。
  • そこでひらめいた!道があるなら踏切を作れば良い。
  • そこで持ち出したのがユーソニック」という特殊な装置
  • 不快な音で見えない踏切を作る。
  • 鹿の通る道以外をネットで塞ぐ、鹿の通路にユーソニック
  • 電車の通る時間は、この装置で道を塞ぐ、電車の通らない時間は装置を止めてシカを安全に通す。
  • まさに見えない「鹿の踏切」
  • ガッツポーズで!効いてる効いてるといった感じでした。
  • 5月に設置以来一件も事故が発生していない。
  • 長年のシカ対策に、青信号がともるかもしれません。
  • 国交省に聞けば全国同じ悩みがある。多いのはシカ、イノシシ、クマ、北海道では丹頂も。
  • 丁寧に埋葬しているが、マダニでは人間にも被害もある。

 

フジテレビ 「クイズやさしいね」で鹿の踏切が出題されました。

2016年9月20日 フジテレビ「クイズやさしいね」の内容

出題:「野生のシカを守るために設置されたモノは?」

A:シカ専用のエサやり場
B:電車にシカを守るためのエアバックを付けた
C:シカ専用の踏切

 

関西テレビで「シカとの事故増加 近鉄の”秘策”とは」が紹介されました。

2017年3月13日 21:47

  • 奈良県宇陀市の近鉄大阪線の線路に設置
  • 去年はこの付近でシカとの衝突が27件発生(多発地帯)
  • 近畿日本鉄道 芝原様:「我々も助かりますし、シカさんも助かる。」 「人間とシカ、お互いが安心して生活できるよう模索が続きます。」

 

 

放送局名とタイトル、放送日時

2016年7月20日 放送  NHK関西 ニュースほっと関西(18時10分~)

2016年7月21日 放送  NHK津  NHKニュース(18時00分~)

2016年8月  3日 放送  NHK全国 おはよう日本(7時00分~)

2016年8月10日 放送  大阪毎日放送 ボイス(18時30分~)

2016年8月12日 放送  大阪毎日放送 ちちんぷいぷい(15時00分~)

2016年9月20日 放送  フジテレビ クイズやさしいね(19時00分~)

2016年9月23日 放送  東海テレビ みんなのニュース(16時49分~)

2016年12月16日 放送 大阪毎日放送 ボイス(18時47分~) ⇒ シカ踏切_7ヶ月後の報道

2017年3月13日 放送  関西テレビ 関西のニュース(21時47分~)

2017年11月29日 放送 読売テレビ 朝生ワイド す・たまん(6時00~)⇒朝生ワイド す・たまん

2017年12月1日 放送 読売テレビ   かんさい情報ネットten!( 17時17分~)

2018年2月2日 放送 NHK奈良 注目ニュース

2018年6月6日 放送 テレビ朝日 羽鳥慎一モーニングショー(9:13~9:23)

 

鹿に優しい鉄道事故対策

「鹿の踏切」は、鹿と列車の衝突防止が目的です。近畿日本鉄道株式会社様(以下、敬称略の近鉄)で実施した評価実験を紹介します。

鹿の踏切

ユーソニックは、目に見えない遮断器(鹿の信号機)の役目をします。

背景

鹿と鉄道の事故が年々増加していて、全国で列車とシカが接触する事故が増加し平成26年度は5,000件となり、近鉄では、各種対策を実施するも効果が少なく年々増加し288件に達しました。物理的に鹿を侵入させない鹿侵入防護柵を設置すれば簡単に解決と思われますが、次の問題点が発生します。

  • 衝突多発地帯に侵入防護柵を設置すれば設置場所の事故は軽減します。しかし、防護柵が終わった場所で事故が多発します。防護柵を更に延長をすると、また、防護柵が終わった場所で事故が多発します。結局、事故多発場所が移動しただけで全体の事故件数は減らない場合があります。
  • 侵入防護柵を設置した結果、人間が使用する踏切で鹿の事故が発生するようになった。

このように、事故発生場所が移動するだけで投資効果が出ないことがあります。

従来との違い

防護柵を用いた従来の対策は、鹿を線路内から完全排除する方式ですが、今回の方式は、電車が通過する時間帯に限って通行禁止、あるいは線路外に出てもらうものです。鹿が昔から使用していた鹿道は、電車通過時間帯以外は、鹿に解放します。新しい方式達成のために次の手順で進めました。

第1ステップ:小規模評価

まず、ユーソニックの効果を調査しました。

近鉄の路線で鹿と列車の接触多発場所2ヶ所に、2015年12月ユーソニックを設置しました。

IMG_3443

黄色矢印は、ユーソニックを設置している場面です。

評価方法は、監視カメラを用いて動物の行動を確認するものです。監視カメラは、24時間稼働のため膨大な画像データの取得になりました。この画像データは、近鉄が動物の種類や出没時間、動物の行動などを抽出しました。映像を確認する作業は、当初10倍速で出没動物を確認したそうですが、最終的には100倍速でも見分けられるようになったそうです。全ての画像を確認する作業は、気が遠くなる時間です。

第1ステップの映像データを近鉄様より入手することができました。短期間ですが約250件の野生動物(シカ、イノシシ、イタチ、キツネ、タヌキなど)の出没がありました。音が鳴っている時は、無音時に比べてシカの滞在時間が短くなることや、動作時の通過経路と非動作時の動物通過ルートの差からユーソニックの有効距離を知ることができました

この他に、出没頭数推移、動物の出没時間帯と出没数の関係、出没頭数と天候との関係、滞在時間の関係、鹿の線路舐め場所や時間などを調べました。

 

第2ステップ:区間全体の鹿対策

第2ステップは、2016年5月にユーソニックを2台から6台に増やして防護柵も併用しました。これにより駅を挟んだ両側のトンネルまでの約1kmが対策区間となりました。第2ステップの特長は、NHK番組で紹介されたように、近鉄殿が独自にシカの居住区域と獣道(シカ道)を調査し、ユーソニックと防護柵の効果的な配置を導き出した点にあります。シカが頻繁に通る鹿道と線路が交差するポイントをシカ専用踏切位置にしました。これにより、鹿の生態に配慮すると同時に効果も期待できます。シカ踏切は、人間が通る踏切に比べて大きな開口部になっています。「鹿の踏切」は、電車が走行する時間帯にユーソニックから鹿が嫌う音出して鹿の横断を抑制し、列車が運行しない時間帯は、無音にしてシカを通行させる方式としました。

次の写真の黄色矢印は、鹿が通る獣道(シカ道)で、線路への出入り口となっています。

IMG_3668獣道と糞

鹿の糞が落ちていれば確実な獣道です。参考までに鹿の糞を写真右に示します。大きさは直径1cm程度です。

今後の評価ポイントは

  • 鹿の衝突回数の推移
  • 獣道が固定されるか
  • 侵入防止柵の穴あけ被害

相手が動物なので、人間の思うように行かないことが多いのですが、3つ目の侵入防止柵の穴あけ被害については、従来から通行していた鹿道が確保されているので、わざわざ侵入防止柵に穴を開ける必要性が無くなるのではないかと期待しています。もしも、穴あけが無くなれば、安価な獣害用ネット対応で良いと判断できます。更に獣道が確立できれば、獣害ネットが寿命になっても張り替えが不要なる可能性があります。この評価により、鳥獣対策メーカだけでは経験できない貴重なデータを得られています。

 

近鉄の評価を主導した人のお話で、印象的だったものは

  • 最大効果を発揮させるには、ユーソニックの設置位置がポイント、鹿が通る位置を見極めて総合判断すること。
  • 鹿と共存することが、動物愛護の面からも良い。(2017.7.20NHKニュースホット関西より)

今回、自然が豊かな評価場所でした。最初に訪れた時は紅葉、春は桜、そして夏へ。しかし、設置やデータ収集では、雨、みぞれ、炎天下と厳しい自然の中の作業となりました。映像データ解析も大変な作業ですが、設置でも体力を必要としました。路線の安全を守る人達と短い時間ですが、一緒に作業させていただき、安全が当たり前のように乗る電車のありがたさを知ることができました。

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次の写真は、動物監視カメラの映像データから見つけた「特急しまかぜ」です。あまりにも美しいので、動画を静止画像に加工しました。

特急しまかぜ640

 

これは私の個人の計画ですが、「特急しまかぜ」に乗って伊勢志摩に旅行することです。このとき、家族に鹿対策の自慢をしたいと考えています。